ナノ粒子を使った低電圧動作で省エネ型の液晶ディスプレイ開発について

2005/06/21

当社は、この度省エネルギー型液晶ディスプレイの実現に寄与する『高分散性ナノ粒子の開発』に成功すると同時に、同材料を液晶材料に添加することで『液晶駆動電圧の低減と応答速度が向上する現象』を、山口東京理科大学教授 液晶研究所所長 小林駿介氏と共同で確認しました。今回の高分散性ナノ粒子は、当社が保有する無機カルシウム・マグネシウム原料を主体に、気相合成技術と分散技術を応用して得られたもので、シングルナノサイズでありながら非常に狭い粒度分布を有し、溶媒中において“極めて分散性に優れたこと”を最大の特徴とする材料であります。当社では、本材料の新規用途開拓を進めるなかで、同大学教授小林所長の協力のもと、液晶中における同材料の挙動を評価する一環で同現象を確認しました。フラットパネルディスプレイにおいては、PDP(プラズマ)、LCD(液晶)、リアプロ-TVが三つ巴で激戦を演じておりますが、LCDに関しては、消費電力の低減と残像対策としての応答速度の改善が大きな課題とされております。今回のナノ粒子の開発とLCDへの添加技術は両課題の改善に大きく寄与するとともに、20%前後の駆動電圧の低減と省エネルギー効果が見込まれます。また、LCD-TV,PCモニターの省エネルギーをはじめ、LCD搭載モバイル端末においてはバッテリー容量の延命が図れ、有望な省エネルギー新技術と考えております。同大学教授 小林所長によると、「ある種の物質を液晶材料系に添加することで、液晶定数の変化および系の安定が図れたことが要因」と推察され、更に「同技術は既存の、全ての液晶ディスプレイの生産方式および駆動方式に変更を加えることなく転用でき、省エネルギー型液晶ディスプレイの実現に大きく寄与する画期的な技術」とのことです。今後当社は、同大学教授 小林所長に協力して、同現象の解明と省エネルギー型ディスプレイの実現に取り組む考えであります。
また、大手液晶メーカーと共同開発に取り組み、数年後の実用化を目指す計画であります。
(問い合わせ先:研究開発本部市場開発部 阿部修三 03-3516-6035)